医療費控除のやり方2026|対象になる費用・ならない費用と申告の手順
医療費控除は対象の見極めと明細書の準備が肝心です。対象になる費用とならない費用、セルフメディケーション税制との使い分け、申告手順まで整理しました。
PR 本記事はアフィリエイト広告(SkillHacks(プログラミング講座)、フリーランスボード、ウェルスコーチ)を含みます。
PR 本記事はアフィリエイト広告を含みます。
入院や出産、家族の通院が重なって「今年は医療費がかさんだ」という年は、医療費控除を使えるかどうかで手取りが変わります。ただし、何が対象で何が対象外か、申告はどう進めるのかが分かりにくく、取りこぼしも起きやすい制度です。
この記事では、2026年に申告する人に向けて、医療費控除の基本、対象・対象外の整理、セルフメディケーション税制との使い分け、申告の具体的な手順までをまとめます。税制の細部は変わることがあるため、最新の取り扱いは必ず国税庁の情報で確認し、個別判断に迷う場合は税務署や税理士に相談してください。
読み終えるころには、「自分の家庭ではどの費用を集計し、どちらの制度を選び、どの手順で申告すればよいか」を判断できる状態を目指します。確定申告が初めての人でも進められるよう、つまずきやすいポイントも合わせて整理しました。
🏥 医療費控除とは何か
医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた部分を所得から差し引ける所得控除の一つです。所得が小さくなる分、所得税や住民税の負担が軽くなります。
会社員でも年末調整では処理されないため、医療費控除を受けるには自分で確定申告(還付申告)をする必要があります。「申告した人だけが受けられる控除」という点が最大のポイントです。
なお、医療費控除は「医療費そのものが戻ってくる制度」ではなく、あくまで税金の計算上の控除です。支払った医療費の一部に相当する税負担が軽くなる、という構造を最初に押さえておくと、後述する「いくら戻るか」の考え方も理解しやすくなります。
🧮 「10万円または所得の5%」という基準
医療費控除の対象になるのは、支払った医療費から保険金などで補填された金額を引き、さらに「10万円」か「総所得金額等の5%」のいずれか低い方を超えた部分、というのが一般的な基準です。控除額には上限(一般に200万円)も設けられています。
所得が少ない年は「所得の5%」の方が10万円より低くなるため、医療費が10万円に届かなくても控除を受けられる場合があります。「10万円を超えていないから無理」と決めつけず、自分の所得で計算してみることが大切です。基準の細部は最新の国税庁情報で確認してください。
なお、ここでいう「総所得金額等」は給与の額面ではなく、給与所得控除などを差し引いた後の金額を指します。会社員なら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が目安になるため、まずはそこから自分の基準額を試算してみましょう。
🧾 対象になる費用の考え方:治療目的が原則
対象になるかどうかの大まかな判断軸は「治療や療養のために必要な支出かどうか」です。病気やけがを治すための費用は対象になりやすく、予防や美容、健康増進のための費用は対象外になりやすい、というのが基本的な整理です。
例えば同じマッサージ代でも、医師の指示による治療の一環なら対象になり得ますが、単なる疲労回復目的なら対象外とされるのが一般的です。レシートだけでは目的が分からないため、治療に関連する支出はメモを残しておくと後で説明しやすくなります。
同じ支出でも目的によって扱いが変わることがあるため、迷う項目は「治療のためと説明できるか」を基準に考え、判断がつかないものは税務署に確認するのが安全です。
💊 対象になる費用の具体例
一般に対象とされやすいのは、病院や歯科での診療費・治療費、治療のために処方された医薬品代、治療に必要な市販薬(風邪薬など治療目的のもの)、入院費用、出産関連の費用などです。
本人だけでなく、生計を一にする家族のために支払った医療費も合算できます。「家族全員分を1年分まとめて集計する」のが取りこぼしを防ぐ第一歩です。
このほか、治療のために必要な松葉杖や義足などの器具の購入費、医師の診療を受けるために直接必要な費用も対象になり得るとされています。一方、入院時のパジャマや日用品など治療と直接関係しない支出は対象外と整理されるのが一般的です。
🚃 通院の交通費はどこまで入るか
通院のために使った電車やバスなど公共交通機関の運賃は、一般に医療費控除の対象に含められます。子どもの通院に親が付き添う場合の付き添い分の交通費も、一般論として対象になり得るとされています。
一方で、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象外というのが一般的な扱いです。タクシー代は原則対象外ですが、緊急時や公共交通機関を使えない事情がある場合には認められることがある、という整理です。交通費は領収書が出ないことが多いため、日付・経路・金額をメモで記録しておきましょう。
遠方の病院に通う必要があり、新幹線などを使った場合の扱いは、治療上の必要性など個別の事情によるとされます。高額な交通費を計上する場合は、なぜその病院に通う必要があったのかを説明できるようにし、事前に税務署へ確認しておくと安心です。
👶 出産関連の費用
妊婦健診の費用、出産の入院費、分娩費用などは一般に医療費控除の対象とされています。出産育児一時金など補填として受け取ったお金は医療費から差し引く必要がある点に注意してください。
里帰り出産の帰省費用や、入院時の身の回り品の購入費などは対象外とされるのが一般的です。出産の年は医療費が大きくなりやすいので、控除を検討する価値が高い年と言えます。
不妊治療についても、治療目的の支出として対象になり得るとされていますが、範囲の細部は個別性が高い分野です。金額が大きくなりやすいため、該当する人は国税庁の情報や税務署への確認を前提に、領収書を確実に保管しておきましょう。
🦷 歯科治療の扱い
虫歯や歯周病の治療など、一般的な歯科治療は医療費控除の対象とされています。保険外の治療でも、治療目的であれば対象になり得るというのが一般論です。
一方、見た目を良くすることだけが目的のホワイトニングなどは対象外とされやすい項目です。歯科は金額が大きくなりやすい分野なので、対象かどうかの判断は丁寧に行いましょう。
治療上必要なインプラントや、金やセラミックなど一般的に使用されている材料による治療費も、対象になり得るとされるのが一般論です。デンタルローンを利用した場合の扱いなど細かい論点もあるため、高額な治療をした年は事前に整理しておきましょう。
🚫 対象にならない費用:予防・美容はNGが原則
対象外になりやすいのは、予防・美容・健康増進が目的の支出です。美容整形、健康食品やサプリメント、疲労回復目的のマッサージなどは一般に対象外とされています。
インフルエンザなどの予防接種も、病気の予防が目的のため対象外とされるのが一般的です。健康維持のためのジム費用や健康器具の購入費も同様です。迷ったら「すでにある病気やけがの治療か、それとも予防か」で切り分けてみてください。
また、メガネやコンタクトの購入費も、日常生活用であれば対象外というのが一般的な扱いです。「健康のためにお金を使った」ことと「治療のためにお金を使った」ことは税務上は別物、と覚えておくと判断しやすくなります。
🩺 人間ドック・健康診断はどうなる
人間ドックや健康診断の費用は、異常が見つからなかった場合は対象外というのが一般論です。予防・チェック目的の支出と整理されるためです。
ただし、検査で重大な疾病が見つかり、引き続き治療を受けた場合には、その健診費用が治療の一環として対象になり得るとされています。結果次第で扱いが変わる代表例なので、該当しそうな場合は税務署に確認しましょう。
会社の定期健康診断や自治体の検診も同じ考え方で、検診そのものは予防目的のため対象外とされやすい支出です。ただし後述するセルフメディケーション税制では「一定の取り組み」の証明として活きるため、結果通知書は捨てずに保管しておきましょう。
📋 対象・対象外の早見表
ここまでの整理を一覧にします。あくまで一般的な目安であり、個別の事情で扱いが変わることがある点に注意してください。
| 区分 | 対象になりやすい例 | 対象外になりやすい例 |
|---|---|---|
| 診療・治療 | 診療費、治療費、入院費 | 美容整形、医師への謝礼 |
| 医薬品 | 処方薬、治療目的の市販薬 | サプリメント、健康食品 |
| 交通費 | 通院の電車・バス代 | 自家用車のガソリン代・駐車場代 |
| 出産 | 妊婦健診、分娩・入院費 | 里帰りの帰省費用 |
| 歯科 | 虫歯・歯周病の治療 | 美容目的のホワイトニング |
| 検診 | 異常発見後に治療した健診費 | 異常なしの人間ドック |
表に当てはまらない支出や、複数の性質を持つ支出も実際には多くあります。判断に迷うものは「対象外」と決めつけて捨てるのではなく、いったん領収書を保管したうえで税務署に確認するのがおすすめです。
⚠️ グレーになりやすい項目は税務署へ
判断が分かれやすい代表例が歯列矯正です。子どもの成長段階で噛み合わせの治療として必要な矯正は対象になり得る一方、大人の美容目的の矯正は対象外とされやすい、というのが一般論です。同じ「矯正」でも目的で扱いが変わります。
入院時の差額ベッド代も、本人の希望で個室にした場合は対象外とされやすく、治療上の必要や病院側の都合による場合は対象になり得る、と整理されます。このように事情次第の項目は自己判断せず、税務署に事実関係を伝えて確認するのが確実です。
💊 セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例で、健康診断の受診など一定の取り組みをしている人が対象の市販薬(スイッチOTC医薬品等)を一定額以上購入した場合に、超えた部分を所得控除できる制度です。
対象医薬品にはパッケージに識別マークが付いているものが多く、レシートにも対象である旨が表示されるのが一般的です。医療費が10万円に届かない年でも、市販薬の購入が多ければこちらが使える可能性があります。制度の存続や要件は最新の国税庁情報を確認してください。
「一定の取り組み」の例としては、勤務先の定期健康診断、特定健康診査、予防接種、がん検診の受診などが挙げられるのが一般的です。取り組み自体の費用は控除対象にならない点と、取り組みを証明できる書類を保存しておく点に注意しましょう。
🔀 医療費控除とセルフメディケーション税制の比較
重要なのは、この2つはどちらか一方しか選べないという点です。両方の条件を満たす年は、控除額が大きくなる方を計算して選びます。
| 項目 | 医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 対象 | 治療目的の医療費全般 | 対象の市販薬の購入費 |
| 基準額 | 10万円または所得の5%超 | 年間の一定額超(少額から使いやすい) |
| 向く人 | 入院・出産などで医療費が大きい年 | 通院は少ないが市販薬の購入が多い年 |
| 追加要件 | 特になし | 健診受診など一定の取り組み |
| 併用 | 同じ年に両方は使えない(選択制) | |
金額や要件の細部は改正されることがあるため、申告前に国税庁の最新情報で確認してください。
🏠 家族分の合算:生計を一にする家族
医療費控除は、申告する本人の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も合算できます。同居していなくても、仕送りで生活費を支えている子どもや親の分が含められる場合があります。
例えば、一人暮らしの大学生の子に仕送りをしている場合、その子の医療費を親の医療費控除に含められる可能性があります。逆に、同居していても明確に生計が別であれば合算できないこともあり、判断に迷う場合は税務署に確認してください。
家族それぞれが別々に少額を払っていると、単独では基準額に届かなくても、合算すれば届くことがよくあります。家族全員分の医療費を1か所に集めて集計する習慣をつけましょう。
💼 共働きはどちらが申告するか
共働き夫婦の場合、家族分の医療費をどちらが申告するかは選べる余地があります。一般論としては、所得が高い方が申告した方が有利になりやすいとされます。所得税は所得が高いほど税率が上がる累進構造のため、同じ控除額でも軽減効果が大きくなりやすいからです。
ただし、所得が低い方だと「所得の5%」基準により控除の入口が下がるケースもあり、世帯によって最適解は変わります。両方のパターンを試算して比べるのが確実です。
なお、医療費を実際に支払った人が控除を受けるのが建前のため、形式的にも支払いを申告者側に寄せておくと整理しやすくなります。家族カードや同一口座からの支払いなど実態の判断には個別性があるため、迷ったら税務署に確認してください。
💴 保険金等の差し引きを忘れない
医療費控除の計算では、支払った医療費から補填された金額を差し引く必要があります。高額療養費として戻ったお金、生命保険や医療保険の入院給付金・手術給付金、出産育児一時金などが代表例です。
差し引きは「その給付の対象になった医療費」から行うのが原則とされ、給付金が特定の入院費を上回っても、他の医療費からまで引く必要はないというのが一般的な整理です。この点を誤ると控除額を少なく計算してしまうことがあるので注意してください。
補填の対象には、健康保険からの給付(高額療養費・出産育児一時金など)と、民間保険からの給付金の両方が含まれます。年をまたいで給付金を受け取った場合の扱いなど細かい論点もあるため、大きな給付があった年は丁寧に整理しましょう。
🏨 高額療養費制度との違いと併用の整理
混同されやすいのが高額療養費制度です。高額療養費は健康保険の制度で、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。一方、医療費控除は税金の制度で、年間の医療費に応じて所得税・住民税が軽くなるものです。
2つの制度は併用できます。流れとしては、まず高額療養費で払い戻しを受け、戻った分を差し引いた残りの自己負担額をベースに医療費控除を計算する、という順番です。払い戻しが申告時期までに確定していない場合は、見込み額で差し引いて申告し、確定後に差額があれば修正するという扱いが一般的です。
整理すると、月単位の負担が重いときはまず高額療養費、年単位で振り返って負担が大きかったときは医療費控除、という順番で検討するのが実務的です。どちらも自分から申請・申告しなければ受けられない点は共通しています。
📝 申告の手順:全体像チェックリスト
ここからは実際の申告手順です。全体の流れをチェックリストにしました。
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 家族全員分の領収書・レシートを集める | 交通費はメモで補完 |
| 2 | 保険金・給付金など補填額を確認 | 高額療養費・出産育児一時金も |
| 3 | 医療費控除の明細書を作成 | 医療費通知を使うと簡略化できる |
| 4 | 医療費控除とセルフメディケーション税制を比較 | 有利な方を選択 |
| 5 | 確定申告書を作成(e-Tax推奨) | 源泉徴収票を手元に |
| 6 | 提出・送信し、還付を待つ | 還付金の振込口座を正確に |
| 7 | 領収書を5年保存 | 提出は不要でも保存義務あり |
手順の中で時間がかかるのは、領収書集めと明細書の作成です。年明けに1年分をまとめて整理しようとすると大変なので、医療費がかさみそうな年は、月ごとに封筒へ領収書を入れていくだけでも申告時の負担が大きく減ります。
📄 医療費控除の明細書の作り方
現在の制度では、領収書をそのまま提出するのではなく、「医療費控除の明細書」を作成して申告書に添付するのが基本です。明細書には、医療を受けた人、病院・薬局名、支払額、補填される金額などを記入します。
国税庁のサイトに様式や集計用フォームが用意されており、e-Taxで申告する場合は画面上で入力できます。1件ずつの入力が大変な場合も、次に説明する医療費通知を使えば負担を減らせます。
明細書は「医療を受けた人ごと」「支払先ごと」にまとめて記入できるのが一般的な様式です。領収書1枚ずつ書く必要はないため、まず人別・病院別に領収書を仕分けてから集計すると、作成時間を大幅に短縮できます。
📬 医療費通知(医療費のお知らせ)の活用
健康保険組合などから届く医療費通知を使うと、通知に記載された分について明細の記入を省略できるのが一般的な取り扱いです。マイナポータル連携を使えば、e-Tax上で医療費データを自動取得できる仕組みも整ってきています。
ただし、医療費通知には年末の受診分が載っていなかったり、市販薬や交通費は当然含まれなかったりします。通知でカバーされない分は自分で追記する必要がある点を忘れないでください。
💻 e-Taxでの申告の流れ
e-Taxを使う場合、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って進めるのが最も一般的です。源泉徴収票の内容を入力し、医療費控除の欄で明細を入力(または医療費通知データを取り込み)すれば、控除額や還付額は自動計算されます。
マイナンバーカードとスマホがあれば自宅から送信まで完結します。還付申告は混雑期を避けて早めに出すことも可能で、書面提出より処理が早い傾向があるとされています。
マイナンバーカードがない場合も、税務署で発行するID・パスワード方式や、作成した申告書を印刷して郵送・持参する方法があります。ただし入力ミスの自動チェックや還付処理の速さを考えると、e-Taxでの提出を第一候補にするのがおすすめです。
📁 領収書は5年保存が一般論
明細書方式では領収書の提出は不要ですが、領収書は自宅で5年間保存するのが一般的なルールです。税務署から提示を求められる可能性があるためです。
申告が終わった後に捨ててしまうのが典型的な失敗です。年分ごとに封筒やファイルにまとめ、「申告年+5年」まで保管する運用にしておきましょう。
交通費のメモや、保険会社から届く給付金の支払通知書も同じファイルに入れておくと、後から説明を求められたときに対応しやすくなります。スマホで撮影したデータを残しておくのも、紛失対策として有効です。
🎁 ふるさと納税ワンストップ特例との衝突に注意
ふるさと納税でワンストップ特例を申請していた人が医療費控除のために確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になるのが一般的な扱いです。確定申告をする以上、ふるさと納税の寄附金控除も申告書に含めなければ、その分の控除が漏れてしまいます。
対処はシンプルで、確定申告書の寄附金控除の欄に、ふるさと納税の寄附額を改めて記載するだけです。寄附先の自治体が発行する受領証明書や、ポータルサイトの寄附証明データを用意しておけば、e-Tax上でまとめて入力できます。
「医療費控除だけ書いてふるさと納税を書き忘れた」は毎年起きる定番ミスです。仕組みの詳細はふるさと納税ワンストップ特例のやり方で解説しているので、両方使う年は必ずセットで確認してください。
💰 還付の仕組み:所得税と住民税
医療費控除で申告すると、まず払い過ぎていた所得税が還付されます。会社員なら源泉徴収で先に納めた所得税の一部が、指定口座に振り込まれるイメージです。
さらに、申告内容は市区町村に連携され、翌年度の住民税が軽くなる形でも反映されます。住民税分は振り込まれるのではなく、翌年の税額が下がる形なので、「還付金が思ったより少ない」と感じても住民税側で効いている場合があります。
還付金は申告からおおむね数週間〜1か月程度で振り込まれるケースが多いとされますが、時期や申告方法によって前後します。振込口座は申告者本人名義のものを指定する必要がある点にも注意してください。
🧮 いくら戻るかの考え方:控除額×税率
戻る金額の目安は、「医療費控除額 × 自分の所得税率」という構造で考えます。控除はあくまで所得から差し引くものなので、控除額がそのまま戻るわけではありません。
同じ控除額でも、所得税率が高い人ほど還付は大きくなり、住民税の軽減も別途加わります。具体的にいくら戻るかは所得や他の控除との兼ね合いで人それぞれ変わるため、断定はできません。確定申告書等作成コーナーで入力すれば自動計算されるので、実額はそこで確認するのが確実です。
住民税は所得税と税率の仕組みが異なるため、軽減額も別に計算されます。「所得税の還付+翌年度の住民税の軽減」を合計したものが医療費控除の実質的な効果と考えると、明細書作成の手間に見合うかどうかを判断しやすくなります。
❌ よくある失敗パターン
取りこぼしや差し戻しにつながりやすい失敗を挙げます。まず明細書を作らず領収書の束だけで申告しようとするケース。現在は明細書の作成が前提です。次に家族分の入れ忘れ。本人分だけ集計して基準額に届かず諦めてしまうのは典型例です。
さらに保険金や高額療養費の差し引き忘れは、控除の過大計上として指摘されるリスクがあります。交通費の記録漏れ、ワンストップ特例の無効化への気づき漏れも頻出です。一つずつチェックリストで潰しましょう。
もう一つ見落とされがちなのが、セルフメディケーション税制との選択ミスです。両方の条件を満たす年に有利な方を選ばずに申告してしまうケースがあるため、申告前に必ず両方を試算して比較する一手間をかけてください。
📅 期限:還付申告は5年さかのぼれる
医療費控除のような還付申告は、通常の確定申告期間に縛られず、対象の年の翌年1月1日から5年間提出できるというのが一般的なルールです。「申告期限を過ぎたからもう無理」とは限りません。
過去に医療費がかさんだ年があり申告していなかった人は、今からでも還付申告できる可能性があります。過去分の領収書や医療費通知が残っているか確認してみてください。
なお、すでに確定申告を済ませた年の分について医療費控除を後から追加したい場合は、還付申告ではなく「更正の請求」という別の手続きになるのが一般的です。手続きの種類によって期限の数え方が異なるため、該当する人は税務署に確認してください。
🔗 副業がある人は確定申告とセットで
副業の所得があってもともと確定申告をする人は、その申告書に医療費控除を一緒に記載するだけで済みます。別々に手続きする必要はなく、1枚の申告書にすべての控除をまとめるのが原則です。
副業の経費整理や申告全体の流れは副業の確定申告と節税で詳しくまとめています。医療費控除は数ある控除の一つなので、全体像の中で漏れなく拾うのが効率的です。
✅ まとめ:医療費がかさんだ年は申告しないと損
医療費控除は、申告した人だけが受けられる所得控除です。治療目的の費用を家族分まで合算し、保険金等を差し引き、基準額を超えるなら申告する。この基本を押さえれば難しい制度ではありません。
10万円に届かなくても所得の5%基準やセルフメディケーション税制が使える場合があり、過去5年分の還付申告も可能です。個別の判断に迷ったら税務署や税理士へ、制度の最新情報は国税庁で確認。この2つを守りながら、取りこぼしなく申告してください。
❓ よくある質問
Q1. 医療費が10万円を超えていないと申告できませんか?
必ずしもそうではありません。基準は「10万円または総所得金額等の5%のいずれか低い方」とされるのが一般的で、所得が少ない年は10万円未満でも対象になり得ます。また、市販薬の購入が多い場合はセルフメディケーション税制が使える可能性もあります。最新の基準は国税庁で確認してください。
Q2. 領収書をなくした分はどうすればいいですか?
健康保険の医療費通知に記載されている分は、通知をもとに明細書を作成できるのが一般的な扱いです。通知にも載っていない分の扱いは状況によるため、税務署に相談してください。今後は家計簿アプリやファイルで日頃から記録しておくのが確実です。
Q3. 共働きですが、夫婦どちらで申告すべきですか?
一般論としては所得が高い方が申告した方が、累進税率の関係で軽減効果が大きくなりやすいとされます。ただし所得の5%基準の影響など世帯ごとの事情で変わるため、両パターンを試算して比較するのがおすすめです。
Q4. 確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう無理ですか?
医療費控除のための還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間提出できるのが一般的なルールです。過去の年分も、書類が残っていれば今から申告できる可能性があります。具体的な可否は税務署に確認してください。
Q5. 申告するといくら戻りますか?
還付額は「控除額×所得税率」という構造で決まり、所得や他の控除によって人それぞれ異なるため、一律にいくらとは言えません。国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力すれば自動計算されるので、実際の金額はそこで確認するのが確実です。
📖 用語集
所得控除
税金を計算する際に、所得から一定額を差し引ける仕組み。医療費控除のほか、社会保険料控除や配偶者控除などがあり、控除が増えるほど課税対象の所得が減って税負担が軽くなる。
医療費控除の明細書
医療費控除を受ける際に申告書へ添付する書類。医療を受けた人、支払先、金額、補填額などを記載する。現在は領収書の提出に代えてこの明細書の作成が基本となっている。
医療費通知
健康保険組合や自治体から送られてくる、受診履歴と医療費をまとめたお知らせ。「医療費のお知らせ」とも呼ばれ、記載分は明細書の記入を簡略化できるのが一般的な扱い。
セルフメディケーション税制
対象の市販薬を一定額以上購入した場合に使える医療費控除の特例。健診受診など一定の取り組みが要件で、通常の医療費控除とはどちらか一方しか選べない。
高額療養費制度
健康保険の制度で、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に超過分が払い戻される仕組み。税金の制度である医療費控除とは別物で、併用が可能。
還付申告
納め過ぎた所得税を返してもらうための確定申告。医療費控除のみの申告などが該当し、対象年の翌年1月1日から5年間提出できるのが一般的なルール。
生計を一にする
同じ財布で生活している状態を指す税務上の概念。同居が絶対条件ではなく、仕送りで生活を支えている別居の家族も含まれ得る。医療費控除の合算範囲を決める基準になる。
e-Tax
国税の電子申告システム。確定申告書等作成コーナーと組み合わせれば、自宅からスマホやパソコンで申告を完結できる。マイナポータル連携で医療費データの自動取得にも対応が進んでいる。
スイッチOTC医薬品
医療用から市販向けに転用された医薬品。セルフメディケーション税制の主な対象で、パッケージの識別マークやレシートの表示で対象かどうかを確認できる。
源泉徴収票
勤務先が発行する、1年間の給与と納めた所得税をまとめた書類。確定申告で還付額を計算する際の基礎資料になるため、申告前に手元に用意しておく。
